葛 城 山 系 - 不 動 山 の 巨 石 群 ( 橋本市杉尾 ) 


   

不動山は、金剛山地の一峰、神福山
(792m)の南西約1km、大阪府(河内長野市)・奈良県(五條市)・和歌山県(橋本市)の三府県境から南西に開けた東谷川の南側に続く標高480mを測る尾根の突端に位置する。和歌山県橋本市杉尾と呼ばれる山奥くの所にあります。
    
          
駐車場から東-左手に明王寺、背後には不動山が聳える

不動山の突端には、古くから巨石群の存在が知られ、山岳信仰の霊地、近年は「日本の音風景100選、不動山の巨石」としても紹介されています。
この場所は、偶然にも神功皇后伝承と国宝の人物画像鏡で有名な隅田八幡宮の北方約4.5kmの位置にあたっています。
杉尾地区は、鎌倉時代に隅田新右衛門が開発したといわれ、炭尾、墨尾(山谷の隅で山の尾筋から出た名)といわれます。

       
             明 王 寺         巨石への階段-これには迂回したくなる

不動山の西麓には、法輪山明王寺のお堂があり、すぐ西側には駐車場とトイレ、寺の東側には一直線に巨石まで続く急階段が整備されていますが、635段もあり、谷の北側からの迂回路から上がるのが楽でしょう。
途中の民家横には、横10m以上の巨石があり、下の空洞内には毘沙門天の小祠が祀られています。
すぐ東側から別れて南側へ細い山道を約15分ほど上がると階段道と合流、少し上がった尾根筋に不動山巨石群があり、明王寺の奥の院といいます。

    

    

巨石群は、西端に祀られる稲荷明神の東側に、4〜5m大の巨岩を中心に大小十数個の巨石から構成されています。
もっとも西側の石の側面には、直径20cm程の穴があいていて、耳をあてると「ゴー」と云う音が聞こえ「この世の音」「あの世の音」「紀の川の音」などが聞こえるとして、日本の音風景100選に選ばれている。
中央の笠形の巨石の下の岩陰には、中央に不動明王、左に金剛童子、右には八大龍王の石祠が祀られています。
近年木製の祠から石製に新調されたようです。岩陰の割れ目には、長さ10cm程の薄い鉄製の鉾形が差し込まれていることが注意された。
周辺の岩は、丸い小石や貝の化石を含む堆積岩が隆起したもののようです。
巨石群の背後にある高さ約2.5mほどの2つの巨石は、他の巨石と異なって寄り掛かった状態の立石で、本来の磐座といえるかも知れない。
なお、石祠前の平坦な石の上面に、直径25cmほどの人工的な穴があけられているのが注意された。自然の中の音より人工的な造作の方が気になった。
和泉〜大和に連なる葛城の山中には、点々と修験道の霊場、葛城二十八宿と呼ばれる霊地が続いていますが、当然この不動山はそれに含みませんが、巨石群は、役行者が葛城山から金峰山に岩橋を架けようとして一言主神に集めさせた石の伝承もありそうです。

     

     
       
      最も奥にある立石-この二つの石は人工的である



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